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東京地方裁判所 昭和41年(ワ)10257号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕<証拠>によれば、別紙目録の不動産については、(イ)昭和三九年九月二二日印南栄治のため債権額一〇〇万円の抵当権設定登記、(ロ)昭和四〇年一月二二日滝野川信用金庫のため元本極度額四〇〇万円の根抵当権設定登記、(ハ)同年四月二〇日八下田静子のため元本極度額三〇〇万円の根抵当権設定登記がなされていることが認められるが、……によると、右(イ)の被担保債権は昭和四〇年一月弁済により消滅し、右(ハ)の被担保債権は成立しなかつたことが認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。結局右不動産に設定された抵当権は右(ロ)のみということになる。

ところ右売買当時右(ロ)の抵当権の被担保債権額はいくらであつたかは必しも明白ではない。前掲乙第九、一〇号証によるとその被担保債権額は三〇〇万円ではないかとも思われるが、被告本人尋問の結果によると、井熊は抵当権者である滝野川信用金庫にいわゆる歩積預金をさせられていたことが窺われるので実質上の被担保債権額は明白でないというべきである。

詐害行為の目的となつている不動産の上に他の債権者のため抵当権が設定されているときは、その不動産の価格から抵当債権額を控除した残額についてのみ詐害行為取消権が成立するのであるから、被告の前記買受行為が詐害行為を構成するとしても、前記滝野川信用金庫の有する被担保債権額が不明確な本件においては、その取消し得る限度が不明ということになる。

その上、……によると、本件売買代金の一部をもつて、右(ロ)の被担保債権が弁済され、昭和四一年八月三日その抵当権設定登記が抹消されたことが認められる。従つて、抵当権の抹消された現在の状態で、被告の別紙不動産の買受行為を取消し、その受けた所有権移転登記を抹消し、井熊の所有名義に復させるときは、原告らの如き一般債権者の共同担保の目的とならなかつた、抵当権者のために確保された担保価値部分まで一般債権者の共同担保の目的に供せしめる結果となる。従つて、このような結果を招来する場合には、所有権移転登記の抹消登記手続を求め得ないと解するのが相当である。(大塚正夫)

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